「ヒトの体温を一定にを保つのはどのような仕組みか?」を始めに知っておく必要があります。難しいサイトカインの話は出てきませんが、感染症漢方は、この体温調節状況をベースに考えながら、処方を選んでいきます。
ヒトには、体温上昇に働く経路と体温下降に働く経路、この2つが備わっています。
通常は、体温上昇経路と体温下降経路は多少の時間差はあれど、同時に働いております。このバランスのおかげで、人間は暑い夏も寒い冬も、同じ体温を保つことができています。
でも、感染症では、体温を上げて白血球が活性化しやすい温度を保たなければなりません。つまり、このバランスは体温上昇経路に傾きやすくなるわけです。しかし、恒常性の常。体温下降経路も働きますが、この働き方次第で解熱するかしないかが決まります。感染症の漢方医学では、この2種の経路のバランスをとることを考えながら、適切な漢方薬を選びます。
体温上昇経路
病原体が侵入→白血球がサイトカインを出す→脳の体温中枢のセットポイントが上がる→筋肉のふるえによる熱産生や、血管収縮による体熱の放散の抑止などで、体温が上がる方向の反応が起きる。
体温下降経路
血液温の上昇により、体温が上がったことを体温中枢が検知したら、血管を拡張して放熱し、発汗して、体温を下げる方向の反応が起こる。
体温上昇と体温下降のバランスを保つために
体温上昇経路、体温下降経路の両方とも活性化させたい時
桂枝・麻黄の組み合わせが入った漢方薬を選びます。
特に、体温上昇経路を活性化させたい時
桂枝・麻黄に加えて、生姜・乾姜など熱性の生薬が入った漢方薬を選びます。
特に、体温下降経路を活性化させたい時
石膏・柴胡・黄連・黄芩・黄柏など寒性の生薬が入った漢方薬を選びます。
大福ギャラリー
大福は昔、絵をならっていました。有料画像のストック切れの問題があり、お恥ずかしながら、公開いたします。