漢方薬の効果を精一杯出すための飲み方があります。漢方薬の副作用、考えたことありますか? 薬局でよく見る、漢方薬の液体タイプと顆粒・錠剤タイプの違いや、商品箱の能書き「満量処方」とは何だろう? 皆さんが抱く日々の疑問について書いたページです。
漢方薬の飲み方
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空腹時に飲む
胃の中に食べ物があると、吸収がかなり悪くなるので、空腹時に飲みましょう。
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1日2-3回に分けて飲む
血中濃度を保つために、1日2-3回に分けて飲むとよいです。
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温めて飲む
必ず温めて飲むことが大事です。漢方薬は、温度43度以上で吸収されることが最近分かってきています。(ご興味がある方は、TRPチャネルのページをご参照ください)。是非、お風呂の温度に温めて飲んでください。
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お湯に溶かして飲む
口に入れて水で流し込むのではなく、コップにお湯を入れ、きちんと溶かして飲むと、吸収が増えます。感染症の漢方はシナモンの香りがするものが多く、美味です。
副作用のことも考える
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添加物に乳糖を含む漢方薬: 乳糖不耐症の方は要注意
牛乳でお腹をこわす人は、「乳糖不耐症」の可能性があるので、「乳糖」が添加物として入っていないか、チェックしてください。「乳糖」の有無は、「症状別漢方薬」のページの、各漢方薬ごとに記載していますので、ご確認ください。液体タイプの漢方薬、コタロー社の製品などは乳糖が使われていませんので、選ぶときのご参考にしてください。
麻黄を含む漢方薬: 高血圧、不整脈、頭痛、甲状腺機能亢進症、前立腺肥大の持病のある方は要注意
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「麻黄」で悪化する可能性があるので、「麻黄」の量をチェックしてください。「麻黄」の量は、各漢方薬の説明覧に記載してあります。上記持病があるひとは、「麻黄」が即ダメというわけではありませんが、だいたい1日量の麻黄が2g以内におさまる製剤を選ぶとよいです。
高血圧、不整脈、頭痛、甲状腺機能亢進症、前立腺肥大のある人にお勧めの漢方薬
「桂枝湯」、「桂枝加葛根湯」、「香蘇散」、「参蘇飲」、「苓甘姜味辛夏仁湯」、医療用より内容量の少ない「葛根湯」などを選ばれると良いです。
桂枝を含む漢方薬: シナモンアレルギーの方は要注意
麻黄・石膏・地黄を含む漢方薬: 胃腸が弱い方は要注意
柴胡を含む漢方薬: 肝臓に問題がある方は要注意
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コロナ後遺症など、長期間飲むときに気を付ける漢方薬
黄芩(おうごん)を含む漢方薬: 肝障害を起こす可能性。虚弱体質の方は要注意。
黄芩は、炎症反応を強く抑える、コロナ後遺症漢方薬の主役級の生薬です。しかし、肝障害のリスクもあります。大福の漢方外来では、3~4か月に一度、採血を行い肝機能をチェックしています。
山梔子(さんしし)を含む漢方薬: 5年以上の服薬で腸間膜静脈硬化症の報告あり。
頻度は少ない合併症です。(すみません、頻度は今度調べてまたアップします。)大福の外来では、この生薬を含む漢方薬を5年以上飲まれている方は、下痢などの腹部症状の発現に気を付けています。
大黄(だいおう)を含む漢方薬: 便がゆるくなりやすいです。
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大黄は向精神作用(「向精神」という意味は、「精神系に作用する」、という意味で使われます。)や、抗炎症作用が強い、漢方の中では力価の高い部類の生薬になります。非常に有用なのですが、欠点はセンノシドを含むため、下痢になりやすいことです。なので、便秘傾向があって、慢性炎症を抱えている方に最適です。
ステロイドのような感じでしょうか。ステロイドも、抗炎症作用とひき替えに、色々な副作用がありますよね。でも利点が欲しいから、欠点を我慢してでも皆飲むわけです。(大黄は、無理して飲まなくてもいいとは思いますが・・・)
大黄は腸内細菌叢で一種の分解をされて初めて、効力を発揮します。抗生剤と大黄を含む漢方を一緒に飲むと、腸内細菌が減ることで、必要な「分解」を受けることができません。せっかく大黄を飲んでも、効果を得ることができず便として排出するだけになりますので、ご注意を。
顆粒、錠剤、液体の漢方薬の違い
市販のお薬は、大きく分けて、錠剤、顆粒製剤、液体ドリンクの3パターンがあります。
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液体ドリンクは、錠剤や顆粒製剤に変化させるための無理な乾燥熱が加わっていないので、生薬の力がそのまま残っていることが多いです。顆粒にするための賦形剤である「乳糖」も使用していないので、乳糖不耐症の人も飲めます。値段は高めですが、効果的な商品だと思います。
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タブレット
錠剤、顆粒製剤は、中身に優劣はありません。自分が飲みやすいものを選ぶとよいでしょう。ただ、固形の漢方は、一度お湯に溶かして飲むほうが断然、吸収がよいので、そのまま飲み込むタイプの「錠剤」は、吸収が悪い可能性があります。胃腸の弱い人は、液体か顆粒製剤を選んだ方がよいでしょう。
ネット通販や薬局で買える漢方薬(OTC薬)と医療用漢方薬の違い
中に含まれる成分量が違います。ネットや薬局で買える漢方(OTC薬)のなかには、医療用漢方の成分量の2/3に減量されているものも、「満量処方」と言って、薬局方で決められた薬剤の最大量を使用したお薬も両方あります。
満量処方とは
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漢方薬を構成している一つ一つの薬用植物を生薬「しょうやく」と言います。生薬を、どのくらいの量、使うかは、「日本薬局方」で細かく定められています。例えば、葛根湯は下記↓の4種類の生薬の組成が定められています。(第十八改正日本薬局方医療品各条生薬)
医療用葛根湯は、④の組成を採用しています。①は、最も量の多い組成で、この組成を「満量処方」と言います。葛根湯を購入する際、この「満量処方」の記載のある商品を選べば、医療用の葛根湯よりも量の多いバージョンの葛根湯を手に入れることができます。
①満量処方 | ② | ③ | ④医療用 | |
葛根 | 8g | 4g | 4g | 4g |
麻黄 | 4g | 4g | 3g | 3g |
大棗 | 4g | 3g | 3g | 3g |
桂皮 | 3g | 2g | 2g | 2g |
芍薬 | 3g | 2g | 2g | 2g |
甘草 | 2g | 2g | 2g | 2g |
生姜 | 1g | 1g | 1g | 2g |
ただし、医療用漢方薬よりも量が多い「満量処方」は「葛根湯」のみです。それ以外の漢方薬のラベルにある「満量処方」は、「医療用漢方薬と内容量が同じ」という意味で記載してあります。
満量処方の利点
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葛根湯を例にとると、麻黄は増えますが、その分、発汗や抗炎症作用は強いです。満量処方が素晴らしい!!と思うのは、肩のこわばりを取る力の強い、葛根が大量に含まれていることです。心臓に問題のない若い人で、肩や首がすごくこるタイプの発熱のときは、葛根湯の満量処方を購入されるとよいでしょう。
満量処方の欠点
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中身が多いので効果が強く出るだろうとは思います。しかし、副作用も強く出るでしょう。例えば、葛根湯の満量処方だと、麻黄が増えるので、高血圧、不整脈、狭心症の人は注意が必要となり、ご高齢の男性で前立腺肥大のある方は、尿が出にくくなったり(尿閉)しますので、持病が該当する方は、満量処方はやめておいたほうがよいでしょう。むしろ、3分の2処方といった減量バージョンの葛根湯をお勧めします。