遠志。これからコロナ後遺症の方に必要になりそうな気がして。買いだめしてしまいました。高価なので、数袋ですが。

主成分

主成分: 遠志サポニン。

効能

記憶の固執 ダリ
ダリ「記憶の固執」
昔、遠志は痴呆症に使われました

①精神安定、頭脳聡明

知恵を益(ま)し、耳目(頭脳)を聡明にし、忘れず、志を強くし、力を倍す

神農本草経

昔から、「頭をはっきりさせる」生薬と言われてきた。

②鎮咳作用

遠志は、下記のような「頭をはっきりさせる」という作用以外に、咳止めの作用もあります。セネガシロップという咳止めの薬は、もともと北アメリカのセネカ族の咳止めの民間薬でした。遠志とセネガは、サポニンという成分が、構造的にかなり類似しており※1、遠志の鎮咳作用の理由であると思われます。

ブレインフォグに人参養栄湯が効いたという報告

頭に霧がかかったようになり、記憶力・集中力・注意力障害が出る、ブレインフォグというコロナ後遺症が問題となっています。ブレイン=頭、フォグ=霧。

人参養栄湯にはこの遠志が含まれていますが、ブレインフォグに人参養栄湯が効いた、という報告※3 や、人参養栄湯は大脳皮質の血流を間接的に増やす※4という報告を考えると、1800年前の神農本草経の作者の言っていることは、もしかして一理ありなんでしょうか? このことを洞察した昔の人はすごいです。今後の研究に、乞うご期待です。

遠志を含む漢方薬

人参養栄湯、加味帰脾湯 など

遠志を含む漢方薬を使用する際、医療者が気を付けること

糖尿病の患者さんの検査で、1,5-AGという検査があります。HbA1cよりも鋭敏に、直近の血糖値を示すので、臨床現場でもよく使われています。遠志は、この1,5-AGを多く含むため、例えば、遠志を含む人参養栄湯を飲んでいる糖尿病の患者さんは、1,5-AGの値が高値に出てしまいます。※5

引用文献

  • ※1 木村孟淳著, 漢方生薬学, たにぐち書店, p84-85
  • ※2 三潴忠道編著, 漢方処方集, 薬事日報社, p205
  • ※3 吉永亮, 他, 新型コロナウイルス感染症罹患後の著名な全身倦怠感やブレインフォグなどの諸症状に対して漢方治療を行って職場復帰できた1例, 日東医誌vol.73, No3, 335-341, 2022
  • ※4 渡辺信博, 他, 脳内コリン作動系の賦活化を介した漢方薬・人参養栄湯の大脳皮質血流に対する作用, 自律神経, 59:231-237, 2022
  • ※5 龍野一郎, 他, オンジを含む漢方薬(人参養栄湯)の血清1,5アンヒドログルシトール(1,5AG)値に及ぼす影響, 糖尿病45(8):583-587, 2002

大福ギャラリー

この「脳をはっきりとさせる」という分野に、光がさすといいですね。