感染症漢方は、実は沢山あります。ここでは14種類の漢方薬を体質別・症状別に分かりやすくご紹介しています。不思議なことに、2つの漢方を組み合わせると、相乗効果を得られる組み合わせ(例1,例2,例3,例4,例5)もあり、その組み合わせもご紹介しています。医師処方が望ましい漢方薬にはそのように記載してありますので、主治医の先生にご相談ください。是非、ご自身に合う漢方薬をお見つけください。

1. 軽めの風邪、発熱38℃前後までのひとに。

桂枝湯イメージ
桂枝湯が合う人
腹証奇覧を改変

普段から虚弱体質。発熱すると顔が赤くなり、汗ばむ。寒気がするが、がたがた震えるほどではない。のどもそれほど痛くない。のどはそんなに乾かない。軽めの風邪をひいたときに。

桂枝湯(けいしとう)


桂枝加葛根湯イメージ
桂枝加葛根湯が合う人
腹証奇覧を改変

普段から虚弱体質。発熱すると顔が赤くなり、汗ばむ。寒気がするが、がたがた震えるほどではない。のどもそれほど痛くない。のどはそんなに乾かない。軽めの風邪をひいたようだ、でも、すごく肩がこる!

桂枝加葛根湯(けいしかかっこんとう) 


相乗効果を得られる組み合わせ例1

桂枝二越婢一湯(けいしにえっぴいっとう)~医師処方~

桂枝ニ越婢一湯イメージ
桂枝湯+越婢加朮湯が合う人
腹証奇覧を改変

がたがた震える段階は一段落、とにかく体がほてって熱っぽい。なんだか滅茶苦茶のどが渇いて、水をごぶごぶ飲んでしまう。汗もまあまあ出ていて、のども痛い。なかなか解熱しないから、しんどい状態が続いている。

桂枝湯1袋越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)2分の1袋を混ぜて1回分。

1日何回飲むか?は、医師の指示に従ってください。


相乗効果を得られる組み合わせ例2

桂麻各半湯(けいまかくはんとう)~医師処方~

桂麻各半湯イメージ
桂枝湯+麻黄湯が合う人
腹証奇覧を改変

がたがた震える段階は一段落、とにかく体がほてって熱っぽいけど、あんまりのどは乾かない(上記の「桂枝湯+越婢加朮湯」が合う人との違いはここ)。汗もまあまあ出ていて、のども痛い。なかなか解熱しないから、しんどい状態が続いている。

桂枝湯1袋麻黄湯(まおうとう)1袋を混ぜて1回分。

1日何回飲むか?は、医師の指示に従ってください。

2. 38℃を超える発熱、つらい全身症状。インフルエンザやコロナ感染症のひとに。

葛根湯イメージ
葛根湯が合う人
腹証奇覧を改変

普段はそんなに虚弱体質ではない。熱がだんだん上がっていく段階にあり、寒気がして、がたがた震える。やけに肩がこって頭痛がして38℃まで発熱する。体温が高いが、汗が出ない!

葛根湯(かっこんとう)


麻黄湯イメージ
麻黄糖が合う人
腹証奇覧を改変

寒くてがたがた震える。頭痛がして、熱は38-39℃。体はほてるのに、寒気がする。のどが痛くて咳も出る。

麻黄湯(まおうとう)


相乗効果を得られる組み合わせ例3

大青竜湯(だいせいりゅうとう)~医師処方~

大青竜湯イメージ
大青竜湯(この合わせ方)が合う人
腹証奇覧を改変

発熱は39度ちかく。寒気や頭痛が、ひどい。首や肩のこりもすごくつらい。顔が真っ赤なのに、汗が全く出なくて、体熱が逃げない。つらくてしようがない、どうしようもなくてうんうんうなってしまう。誰か助けて!!

方法①桂枝湯1袋麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)1袋を混ぜて1回分。漢方医以外の医師の方へ。こちらをお勧めします。

方法②麻黄湯1袋越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)1袋を混ぜて1回分。この方法は、麻黄が非常に多くなるため、麻黄の適切な使い方に慣れた医師の方のみにお勧めします。

1日何回飲むか?は、医師の指示に従ってください。

3. 解熱せず。高熱状態が続き、ついに食欲不振など胃腸の調子も悪くなったひとに

3.① 普段から体力のあるひとに

相乗効果を得られる組み合わせ例4

柴葛解肌湯(さいかつげきとう)~医師処方~

小柴胡湯が合う人
腹証奇覧を改変

高熱状態が続き、全身状態は悪く胃腸の調子も落ちて、脱水状態。すごくのどが渇いてどんどん冷水を飲んでしまう。飲んでも、胃のあたりに不快感があり、吐き気や食欲不振がある。一刻も早く解熱してほしい。

葛根湯1袋小柴胡湯(しょうさいことう)1袋桔梗石膏(ききょうせっこう)1袋を混ぜて1回分。

1日何回飲むか?は、その商品の効能書きに従ってください。

3.② 普段から虚弱体質のひとに

相乗効果を得られる組み合わせ例5 ~医師処方~

柴胡桂枝湯イメージ
柴胡桂枝湯が合う人
腹証奇覧を改変

(上記記載)と同じ症状。高熱+胃腸の調子が落ち込んで脱水状態。普段から虚弱体質で、葛根湯は、飲むと頭が痛くなったり胃が痛んだりするが、桂枝湯ならば飲めるタイプの人に。

柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)1袋桔梗石膏(ききょうせっこう)1袋を混ぜて1回分。

1日何回飲むか?は、その商品の効能書きに従ってください。

高熱の時、桔梗石膏は切らさないほうがよい。コロナによる高熱で、桔梗石膏を1日12g使用したところ、速やかに解熱したが、桔梗石膏を中断したところ、高熱が再発したとの報告がある※1

※1 加島雅之,, et al. COVID19に対して漢方薬が重症化抑制に寄与できた可能性を示す2例 日本感染症学会HP新型コロナウイルス感染症症例報告2020.3.31.

豆知識1

石膏は体を冷やし、潤いをもたらす、高熱にうってつけの生薬。中国の新型コロナウイルス診療ガイドライン※2では、重症例に石膏を30-60g煎じて投与、と記載があります。日本人は少な目から開始しますが、本場は大胆な量を使っているようです。

※2 中国新型コロナウイル診療ガイドライン(試行第8版修訂版) 2021.4.14

豆知識2

柴胡桂枝湯は、「桂枝湯+小柴胡湯」の組み合わせです。虚弱体質の胃腸症状や慢性炎症に使う処方です。この「柴胡桂枝湯」や「小柴胡湯」には「柴胡(さいこ)」という、強い抗炎症作用をもつ生薬が含まれています。柴胡は、抗炎症(ステロイド)作用が強く、熱を冷やし、自律神経系を調節する、など、有用性は数えきれません。漢方医学のなかで中心となる存在の生薬です。

4. ご高齢の方や、あまり体力がない虚弱体質のひとに

4.① 冷え冷えして、とにかくしんどい、横になりたいひとに

麻黄附子細辛湯イメージ
麻黄附子細辛湯が合う人
腹証奇覧を改変

インフルエンザやコロナにかかったけど、あまり熱は上がらない。なんだか冷え冷えとして、とにかくしんどくて横になりたい!!熱産生ができないほどに代謝が悪い、ないしは、体力がないひと。ウイルス感染のため、体が冷え冷えとする、体を温かくしてひたすら横になっていたい。

麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)

4.② 普段から胃腸が弱くて、風邪をひきやすい 桂枝(シナモン)が胃にもたれるひとに

香蘇散イメージ
香蘇散が合う人
腹証奇覧を改変

虚弱体質の風邪の初期の第一選択。安全性が高いため、ご高齢の方にも安心して使える。37度代の微熱、軽い寒気や頭痛、倦怠感に。普段から胃腸が弱く、水分を摂ると胃のあたりがぽちゃぽちゃしやすく、脈も細くて触れにくい、少し抑うつ気味のひとによい。

香蘇散(こうそさん)


参蘇飲イメージ
参蘇飲が合う人
腹証奇覧を改変

虚弱体質で風邪をひきやすいひとに。熱は続くが、寒気は少しで、軽く鼻炎とのどの痛み。普段から胃腸が弱く、食が細くて胃もたれもしょっちゅう。ちょっと神経質でうつ傾向あり。香蘇散のパワーアップバージョンとして、香蘇散が効かないときの第二の選択肢となる。

参蘇飲(じんそいん)

4.③ 普段からアレルギー性鼻炎がひどい。コロナやインフルエンザにかかると鼻水が止まらない。

小青竜湯イメージ
小青竜湯が合う人
腹証奇覧を改変

もともとむくみやすくて、鼻水がよく出る虚弱体質。花粉症やアレルギー性鼻炎の人が多い。胃の中がよくポチャッと音がして、消化が悪い感じ。顔色も青白く、手足も冷たい感じ。風邪をひいても、発熱よりは寒々とするタイプ。

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

注意点: 麻黄が多量になるので、葛根湯や麻黄湯と一緒に飲まない方がいいです。


苓甘姜味辛夏仁湯イメージ
苓甘姜味辛夏仁湯が合う人
腹証奇覧を改変

小青竜湯と同じく、普段から虚弱体質の人に

苓甘姜味辛夏仁湯

(りょうかんきょうみしんげにんとう)

小青竜湯のさらに虚弱体質バージョンです。小青竜湯では胃にもたれる、という人に最適。