甘草について

甘草は保険適用のあるエキス製剤、約150処方のうち109処方に含まれます。約7割。甘草を気にしていると、漢方は飲めません。皆様、甘草の役割をご存知でしょうか。

甘草は、棒高跳びの「棒」の役目をします。高く飛ぶためには、棒(=甘草)が必要なのと同じ。甘草は、メインの生薬がその働きを最大限発揮するために、どうしても必要です。だからこそ、7割もの処方に入っているのです。

塩分と同じです。取りすぎると体に悪いが、人間の体に(甘草の場合は漢方の作用発現に)必須なものなので、甘草も塩分も一日の適正量が決められているのです。

甘草の適正量ですが、私は4g/日以上になった場合は、カリウムと血圧のチェックを再診時に行います。例えば、人参湯には3g/日の甘草を含んでいるので、思考過程としては、「ほかに漢方を追加する場合は、合計4g/日を超えない処方を選ぼう。1g/日の処方は何だったかな・・・」です。

ここで、フォロワー様の気持ちに気が付きました。1日何g?どこで判断するの・・・そう、能書きの見かたが・・・分からない。確かに、一般の方に甘草の量を気をつけろなんて無茶な話。でも、むやみに甘草を避けていると、治療の機会を逃します。薬の箱の能書きを読めるようになりましょう!!

市販薬の能書きが読めるようになろう!!

医療用漢方の能書き

左記をクリックすると、ツムラ医療用漢方のページへ飛びます。「医療用漢方 何々湯」で検索すれば、全ての能書きはネットで分かります。

柴胡桂枝乾姜湯の医療用漢方は1日3袋。

この能書きで、一番下の「カンゾウ2g」と書いてあります。これは、1日3袋を服用した場合、甘草は2g摂取することになりますよ、という意味。つまり、エキス製剤1袋=2g÷3=0.666gの甘草が含まれています。

柴胡桂枝乾姜湯を1日2袋飲む場合は、甘草の1日量は1.32g/日。全く問題ない量であることが分かります。このように、他の漢方の併用をする必要があり、1日量のトータルで甘草が増える場合は、1日3回ではなく、1日1-2回に減量し調整することもあります。

アマゾンの商品の能書き クラシエ社を例に

単純に、医療用漢方の半分の量しか入っていないことがお分かりでしょうか。数字を見比べてみてください。アマゾンの商品ページからの抜粋です。気になる方へリンクもつけています。

私が、「医療用漢方の2分の1の商品」など市販薬をご紹介しているのは、単にこの内容量を比較して言っているだけなのです。医者だから特別に知っているわけではありません。全部webに情報はあります。

さて、このクラシエ社の市販薬ですと、1日3回服用ですので、1袋の甘草の量は、1.0g÷3=0.333g/袋。もう、本当に微量になってきます。

柴胡桂枝乾姜湯は自律神経の発火を抑え、汗やのどの渇きを止めます。夜間の汗で眠れない人が、例えば、眠前に1袋飲む分には、医療用も市販薬も甘草の量は全く問題ないことが分かりますね。

色んな製薬会社さんのご紹介

皆様・・・漢方薬をアマゾンで購入するとき、値段とかパッケージ、製薬会社が大手かどうかで決めていませんか?・・・様々な理由があると思いますが、大福のお勧めは、中の生薬量をよく見る、です。これは上記の、甘草の量をきちんと把握することにもつながります。

医療用漢方製剤

まず、大事なこと。医療用漢方製剤は、どのメーカーも内容量は統一されています。ツムラ社、クラシエ社、コタロー社、三和生薬、太虎精堂、東洋薬行、大杉製薬。すべて、同じです。だってメーカーでバラバラは、医者サイドも困りますから。では、市販薬はどうか?

市販薬

「満量処方」と記載のあるものは、「医療用漢方と同等量」と考えてよいでしょう。(すべてではありません。葛根湯など例外もありますので、こちらをご参照くだい。)

効果を高い漢方をお求めで、医師に処方箋をもらう時間もない・・・ドラッグストアで買おう・・・このようなときには満量処方の記載のある商品をお勧めします。

しかし、満量処方のある商品はかなり限られています。ニーズが高い数種類の漢方のみ。では、「満量処方」の商品がない場合、どんなものを買えばよいのでしょうか??

私のやり方は、「ツムラ社、~湯、医療用」で検索して、まず医療用がどのくらい使われているか見ます。そして、その内容量と箱に記載、もしくはwebページに記載されている内容量と比較します。上の甘草を見る時と一緒ですね。

そんなのメンドクサイあなたへ。大体、製薬会社さんは、「医療用に対して何割の内容量の商品を作るのか」が決まっています。単純に製薬会社さんで選んでも大きな間違いはないでしょう。特に、市販薬でもニーズの高い、花粉症やアレルギー性鼻炎の漢方薬・小青竜湯を例にとってランキングしてみました。アマゾンに売っていない商品は拾い切れていないので、お悩みの際は、上記の方法で、ご自身で判断をお願いいたします。

市販薬(小青竜湯を例にとって)の内容量ランキング

1位 満量処方の商品。医療用の10割の商品(これは当たり前ですね。)322円/日。


2位 三和生薬: 医療用の7割の内容量。私はここの会社さん好きです。きちんと生薬が入っている。213円/日。

3位: 会社ではなく、商品の紹介になります。クラシエ社と湧永製薬の商品ですが、これらの会社さんは2分の1の内容量の商品も作っているので、ご注意を。

医療用の3分の2の内容量の商品(アマゾンで見つけられたのは下記のみ。ほかにもあるかもしれません。)

4位: クラシエ社、ツムラ社、コタロー社、JPS社、松浦漢方、ロート製薬、etc・・・ほか全て、医療用漢方の2分の1の内容量。

しぶちん大福

しぶちんとは、大阪弁で「けちん坊」の意味だそうです。かわいい言葉だと思ったので使いました。さて、皆様・・・単価が気になりませんか? 結局内容量が多ければ、そりゃお値段するんじゃないの? と思いませんか? 計算してみました。

医療用漢方・小青竜湯: 保険3割負担で計算。107円/日。

1位満量処方の商品: 322円/日

2位三和生薬: 213円/日

3位医療用の3分の2の内容量: クラシエ社飲みやすさプレミアムの商品: 201円/日。湧永製薬176円/日。

ふーーむ。よくできています。医療用漢方は自費だと356円/日なので、満量処方とほぼ同じ値段。1位、2位、3位、どれもあまり暴利ではない感じですね。

医療用漢方の2分の1の内容量の商品は、多すぎるので値段比較しません。これらの商品のよいところは、小青竜湯の副作用も弱いことでしょう。麻黄が入っている(3g/日)ので、副作用にご注意を。副作用対策に、2分の1の内容量の商品をあえて選ぶのも手だと思います。