基原と成分※1

あんず

あんず(杏)の種。「仁」は種子の意味。二種類あって、薬用に使う苦杏仁と、甘くて食用にされる甜杏仁(てんきょうにん)がある。苦杏仁の苦味の本体は、アミグダリンで、鎮咳去痰薬としての作用がある。また、杏仁の30-50%は脂肪分であり、滑りをよくする意味で便秘系の漢方にも含まれる。

何を期待して杏仁が使われるか※2

  1. 鎮咳と去痰
  2. 脂肪分が多いため便の滑りをよくすることができる→便秘薬にも含まれる

使用例 

皆様、キョウニン水ってご存知でしょうか。今でも現役の保険診療で使われているお薬です。

キョウニン水の箱

保険診療で去痰薬として用いられるキョウニン水。シオエ、健栄さんが作っておられます。このキョウニン水は、その名の通り、杏仁からできています。今は、あまり処方されているの見たことないですが・・・昔ながらの薬です。

こんな食品も仲間

タピオカ

今回、杏仁について調べていくうちに、タピオカの原材料も杏仁と同じ「シアン化合物」なので、食品の安全上、厳重に管理されていることを知りました。タピオカも杏仁豆腐も安全に食べることができているのは、このようにきちんと管理してくれているからなのですね。不満もありますが、やはり国に感謝です。

参考文献

※1 漢方生薬学, 木村孟淳, たにぐち書店, p62

※2 漢方294処方生薬解説, 根本幸夫, じほう, p215