基原

朴の木の葉

朴(ほお)の木の樹皮。厚い朴(=木の皮)という意味。

飛騨高山の名物料理、「ほお葉味噌」「朴葉寿司」「朴葉餅」は、朴の木の巨大な葉っぱを使って作ります。朴の木はまな板、木琴などに用いられます。朴の木のまな板は、木琴に使われるぐらいですから、包丁で切るとん、という音が澄んでいて気持ちいいそうです。

成分

  1. マグノクラリン(アルカロイド類): アマゾン土着民の狩りの道具・矢毒。矢の先端には、今でいう筋弛緩薬の原型である毒物・ツボクラリンが塗られていました。このクラーレとは比べ物にならないほど弱い作用ですが、マグノクラリンにも弱ーーーーい筋弛緩作用が認められています。この作用は、のどの締め付けられる感じ、胸が締め付けられる感じ、という症状を軽減させるのに役立っていると思われます。

2. マグノロール、ホーノキオール: マグノクラリンとは別で、中枢性の筋弛緩作用が認められる。漢方の面白いところは、1と2、作用点が違っていても同じ方向の薬効ならば、作用が足し算ではなく掛け算で増強される相乗作用があること※1

胃液分泌促進作用

3. 精油、セスキテルペン類(β, γユーデスモールなど): 蒼朮に類似。胃液分泌促進作用と抗潰瘍薬の役目がある。

何を期待して厚朴が使われるか

精神的な要因の強い咳や梅核気、気管支の収縮(喘息、風邪)で呼吸が苦しいときに、患部の緊張を弱めるために、上記1と2の弱い筋弛緩作用のある厚朴が使われる

腸が痙攣して痛み、腹が張るとき: 上記の1と2の作用がある厚朴が使われる

胃の動きが悪いとき、3の作用がある厚朴が使われる。

参考文献

漢方生薬学, 木村孟淳, たにぐち書店, p25