ブレインフォグとは
コロナウイルスに罹患後、頭にもやがかかったような状態で、集中力・思考力が極端に低下してしまう状態をブレインフォグ(霧がかかったような脳)と言います。通常ならば間違えないことを失敗してしまったり、「道路のかどを曲がってポストに投函する」などの簡単な動作ができなくなってしまいます。
ブレインフォグの漢方治療
今のところ、ブレインフォグに対する症例報告があるのは人参養栄湯(にんじんようえいとう)※1、加味帰脾湯(かみきひとう)+四物湯(しもつとう)の組み合わせ※2 。人参養栄湯はコロナ後の脱毛に有効であったという報告※3もあります。四物湯は、精神症状の改善※4や、心的外傷後ストレス障害のフラッシュバックに対する精神症状に、桂枝加芍薬湯と組み合わせて使われることもあり(神田橋処方)※5,6、脳に対し何らかの働きがあることが推察されています。
現在、報告のある3つの漢方薬です。↓↓クリック↓↓
参考文献
- ※1 矢数芳英, ほか. 新型コロナウイルス感染後の後遺症(Long COVID)に人参養栄湯が奏功した1症例. 漢方の臨床 2021: 68: 709-721
- ※2 吉永亮, ほか. 新型コロナウイルス感染症罹患後の著名な全身倦怠感やブレインフォグなどの諸症状に対して漢方治療を行って職場復帰できた1例. 日東医誌 Kapo Med vol.73 No.3 335-341, 2022
- ※3 原田佳尚, ほか. 新型コロナウイルス感染症後遺症の脱毛に人参養栄湯が有効であった2例. 日東医誌 Kapo Med vol.73 No.3 342-346, 2022
- ※4 田原英一, ほか. 四物湯を含む処方が精神症状を改善した6症例. 日東医誌 Kapo Med vol.71 No.2 94-101, 2020
- ※5 杉山登志郎. 複雑性PTSDへの簡易トラウマ処理による治療. Jpn J Psychosom Med 心身医 vol.59 219-224, 2019
- ※6 片岡聡. 自閉症スペクトラム障害と不安-当事者の立場から- 不安障害研究, 5(2), 110-115, 2014